詩人の人らしく、文章が上手なのでスルスル読めた。挿絵もとても良くて、写実とは違うけど雰囲気がよく伝わってくる。周囲の人と頼り頼られている描写もよくて、周りの人間と良いコミュニティを築けているのも微笑ましい。
犬や猫と暮らす不自由さを選ぶ気持ちの一節が興味深い。大きな生き物の世話をすることで自分が求められている状態を作りたいという気持ちも理解はできる。とはいえ、自分が老齢で独りになったとして動物を飼うのはあんまり考えられないかな。
生き物はみんな違うので一概に言えるものではないというのはよくわかる、けど、やはりリードをつけられずに病院にも外の散歩にも行けないのは違うんじゃないか。本文に書いてある通り、年をとってしかも独り暮らしで、やり切る気力が生み出せないというのもわかるけど、それというか、嫌われてもやり切る気合いが老齢になって発揮できないんだろうなと思った。
最後まで読んで、リードをつけられてめでたしめでたしというのとは違うカタルシスが来るのもびっくり。犬が増えたよ。