死に山 を読んだ

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

どこでこの本を知ったのか覚えてないけど、面白いという評判はよく聞いていたが、実際、すごく面白かった。

遭難したトレッカー、救助隊、現代で謎を追いかける筆者の3つのシーンがテンポ良く切り替わるし、写真もたくさん載せてくれているので飽きることなく、非常に読みやすかった。ルポタージュは久しぶりに読んだけどやっぱいいわ。

雪崩、突風、獣の襲撃などの自然災害、痴情のもつれ、脱獄囚の襲撃、宇宙人の襲来みたいないろんな仮説を、ひとつずつ否定していって、最後に何も残らなくなるんだけど、そこから自分なりの答えをひねり出していて、執念のなせるわざだなと思った。

過去の出来事の真実を探り寄せるのは基本的に不可能なんだけど、筆者の描いた物語の説得力が一番大切という点ではフィクションと違いはないのだな。むしろ、ルポタージュは、追跡される対象の物語と、追跡する筆者の物語の両方を追体験できるから、物語の受け取りという点では、二度楽しめるのかもしれない。だからルポタージュが好きなのかも。