- 作者: 小倉昌男
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
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経営学なんて名前だけど、ヤマト運輸を日本一の輸送会社に作り変えた小倉昌男の回想録。副社長に勧められたので読んでみた。
成功本じゃないので参考にさせるような書き方ではないけど、小倉昌男がそのときどきでどう考えてきたかを回想しているのでとても面白い。
信念をもって、冷静に、正しさを判断していくということ。でも情も忘れてはいけない。
仮説を立てるということ
集配ネットワークを作るときに、どれだけの集配センターが必要か見積もるための仮説を立てるところが面白かった。
- 全国の人口密集地域の地図を集めて、半径20kmの円を描いていけば、その円の数が集配センターになるはず
- ものすごくたいへんな作業で仮説を立てるコストがかかりすぎる
- 市民生活に関係のある、郵便局、中学校、警察署のなかから、警察署の必要度と同程度と見なして数を仮定した
- 1200ヶ所で実現可能性があった
仮説を立てることは大切で、それもいろんな側面からみていく必要がある。
サービスが先、利益は後
まだ消化しきれていない。
宅急便を始めた以上、荷物の密度がある線以上になれば黒字になり、ある線以下ならば赤字になる。したがって荷物の密度をできるだけ早く"濃く"するのは至上命令である。そのためには、サービスを向上して差別化を図らなければならない。コストが上がるから止める、というのはこの場合、考え方としておかしい。サービスとコストはトレードオフだが、両方の条件を比較検討して選択するという問題ではない。どちらを優先するかの判断の問題なのである。
命題、前提の話なのだからそれを疑う必要はないということ?
なにが前提となりうるのだろうか。
なにを評価するかということ
人事考課の制度について。
- 上司からの目は頼りにならない
- 下からの評価と横からの評価が必要
- 評価項目は実績ではなく"人柄"
- 誠実であるか、裏表がないか、利己主義ではなく助け合いの気持ちがあるか、思いやりの気持ちがあるか、など
そうだよね。実績も大切だけどやっぱり人柄が大切だよね。人柄がいいひとは実績も残している気がする。
経営者に必要なものは論理的思考とか自立心とか明るさとかいろいろあるけど、最後には倫理観が必要。
これがすべて正しいとか真実とは思わない、というか、そういう意図のものは書かれていないけど、経営者としてのあるべき姿のひとつだと思う。面白かった。